702講義室
2017-01-19 08:10:00
自灯明、法灯明
昔、人は砂漠を旅するのに星を目印にしたと言います
しかし、旅人は星を目指したわけではありません
人生を歩むとはそういうことでしょうか
果てしなく広がる2次元の世界に
行き着く処などありません
目標とは誰かの付けた印でしかないのです
価値とは相対的関係性でしかないからです
目的至上主義にとって、歩むという行為は
無駄な犠牲以外にほかなりません
しかし
目的が幻ならば、すべては無意味なのです
あるのは、歩み続けるということだけ
水が流れを留めれば腐敗するように
人もまた、歩みを止めれば腐るということでしょう
今、ここに歩み続ける自分が確かにいる
自分の歩いているこの場所がすべてなのです
2017-01-18 09:35:00
諸法実相
正義は悪があって初めて存在する
悪のない世界に正義は存在しない
光明は闇があって初めて認識する
闇のない世界に光は認識しえない
この世における網羅万象はすべて
必然的存在理由がある存在であり
そのままですべて価値があるのだ
諸法実相
問題は
尺度を限定しようとすることにある
宇宙は関係性構造により成り立つ
単独で存在するものは何一つない
縁起
多様なる相対的価値観の混沌に
唯一絶対的価値を限定する行為
これこそが煩悩のなせる業にほかならない
2017-01-17 08:30:00
苦もまた真なり
こんな話を聞いたことがあります
ウナギの養殖には、稚魚であるシラスが必要です
日本は、外国からその多くを輸入しているのですが
たとえば、カナダからの長時間の輸送になると
繊細なシラスは、90%が死んでしまうそうです
そこでとられた対応策が、なんと無謀にも
天敵であるナマズを水槽に一緒に入れて
輸送するという逆転の発想でした
シラスはエサにされないように必死で逃げ回ります
結局、到着時にはナマズに20%は食べられますが
残り80%は元気に生きているんだそうです
南極大陸には、ホワイトアウトという現象があります
上空の雲と地上の雪が光を乱反射することによって
世界一面が、光そのものになってしまう現象です
影がないと人間は距離感も方向感覚もなくなり
自分が今どこにいるのか全く分からないといいます
光と影があって初めてものを見ることができるのです
光は幸せの象徴であり、影は不幸の象徴です
不幸という影と、幸せという光が供にあって
初めて、人生は姿を現すのかもしれません
平和で安心して暮らせる世界が理想であることに違いないでしょう
がしかし、敵だとか困難もまた必要だからあるのかもしれません
諸法実相
あるものはあるべきしてあり
あらゆるものが真理なのです
2017-01-16 08:03:00
戦うために
生物とは、生きているから生物である
生存本能が第一義であるのは疑いようがない
世界は、相対的関係性によって成り立つ
私とは、あなたがいるから私なのである
高度に進化した生物としての人間の欲求は
純粋な生存欲から派生し、相対的関係性へと変化する
幸せとは、(生命維持以上には)相対的尺度でしかなく
欲望とは、他者に対する優越性に他ならない
生存本能と世界との関係性を放棄することは
生きようとする人間にとって、不可能なことであるが
概念上ならば、人間の原点に立ち返ることは可能であろう
死を覚悟し、世間体という妄想を捨て去った時
そこに何が見えるであろうか?
そこにあるのが、答えである
2017-01-15 08:22:00
抽象度の階層風景
一見でたらめな状態に見える空間には
抽象化されたカオスというパターンが存在する
ある抽象度の系ではランダムに見えるものが
一つ上の系から見ると整合的なパターンを示す
低い抽象度である混沌とした無明のこの世界も
高い抽象度から眺めると整然とした世界として
美しく整合性のとれた縁起のパターンが現れる
この一つ上の系に上がる能力をゲシュタルトといい
これこそがありのままにこの世を見るということである
点という自我は幻に過ぎない
線が結ぶ関係性により自我は姿を現し
線の織りなす面こそがこの世なのだ
点を見てはいけない
線の織りなす縁起に働きかけることのにより
自分自身を、さらにはこの世を書き換えるのである