702講義室
2018-04-07 19:03:00
なんて趣味の悪い絵なんだ!
私の目の前に広がるこの景色
これは、私固有の景色でしかありません
あなたの見ている景色とは、同じではありません
ましてや
人間以外の動物が認識する世界とは、似ても似つかない景色なのです
それは、脳の認識レベルにまで至る話ではありません
目への入力の時点で、他の動物とはすでに条件が違うのです
第一点に、網膜にある錐体細胞が反応する電磁波の周波数域は、動物によって異なるという点があります
たとえ同じ、光の三原色システムであったとしても、その三色が違うのです
ここからです
第二点に、哺乳類の多くは、「二原色」システムで色を識別しています
進化の過程において、かつて哺乳類も、爬虫類も、鳥類も、恐竜も「四原色」だったと言ったら驚かれるでしょうか?
哺乳類は、生き延びるために夜行性となり、その結果、4つの錐体細胞の内の真ん中の2つを退化させてしまったのです
ところが、進化の過程において「二原色」となった哺乳類の一部に、さらに突然変異が起こり、錐体細胞が1つ復活することとなります
人間の目は、このような不自然な過程を経て、不完全な「三原色」システムとなったわけです
不完全というのは、錐体細胞の周波数反応域に偏りがあり、「三原色」システムで表現されるすべての色域を認識することができないという意味です
さて、それでは
「四原色」で世界を見ることができる動物とは、何でしょうか?
鳥です
鳥は、前回申し上げました純粋な「黄色」を直接見ることができます
さらに、鳥は「三原色」のレベルで、人間よりも広い色域を認識することが可能なのです
さらに、+1色の「四原色」の世界とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
人間には、認識できないのですから、想像のしようもありませんが
ニュアンスだけはわかりますので、「四原色」ではなく「三原色」と「二原色」の差で説明します
多くの哺乳類は、「二原色」のままです
例えば、ネコ
ネコに敬意を表して、先に言っておきますが、これは色に関してのみです
ネコの暗闇での識別能力や動体視力は、とうてい人間の太刀打ちできるものではありません
ですから、これにおいて、ネコの視力が劣っているというわけではありませんので
あしからず
色域は、空間で表すことができます
ネコにおきましては、仮にですが「赤」と「青」の二原色だとしますと
x軸とy軸の平面で表現できます
人間は、これに「緑」が加わりますので
x軸とy軸にz軸が直交して、立体になります
1次元違うだけで、これほど色域に差が生じるということなのです
さらに
鳥は、これに加え、人間の認識できない「紫外線」領域が加わることになり
4次元空間域になるということです
これは、空間図形で想像することすら難しいですね
人間と鳥との視覚認識能力レベルは、これほどまでに差があるということがお分かりいただけたでしょうか?
さてさて
その鳥が、人間の芸術家とやらが書いた絵画を見たらどう思うでしょうか?
「なんて色彩センスのない、へたくそな絵なんだ」とバカにされてもしょうがない
と想像してしまうのは、ボクだけでしょうか?