2018-03-19 11:14:00
イーゼルに真っ白いキャンバス
椅子に腰かけ
白いテーブルには真っ赤なバラの一輪ざし
ゆったりと流れるアトリエでの一コマです
さて私は、このバラの何を描けばいいのでしょうか?
バラは、赤い色などしていません
私がバラだと認識するこの原子の集合体が反射した
周波数域が大体700nmあたりの電磁波は
赤色とは何の関係もありません
この周波数700nmの電磁波を網膜上の視細胞が感知し
電気信号に変換された情報が脳の一次視覚野に送られ
人間の脳のシステムに従って赤い色の質感に変換されます
つまり
赤い色とは、人間の勝手な都合でしかないのです
では、この赤いバラの隣に
プラスチックでできた同じ色のバラを置いてみましょう
どちらも周波数700nmの電磁波を反射するバラであるにもかかわらず
ずいぶん違った印象を感じます
明らかに、クオリアの違いからくる違和感でしょう
そして、私の記憶にあるバラ
その思いが、目の前にあるこのバラに彩りをくわえ
私固有のバラとして、目の前に存在させているのです
そもそも、記憶にないものは認識することすらできないのですから
だから
目の前の赤いバラは、私の勝手な都合でしかないのです
話を元に戻しましょう
私は、そんな実体の無いこのバラの何を描けばいいのでしょうか?
大事なことは
誰でもない私、わたしであるということでしょう